代表的な疾患

過活動膀胱

膀胱に十分な尿が溜まっていないにも関わらず、膀胱が勝手に収縮をして尿を出そうとしてしまう病気です。

急に尿がしたくなって我慢が出来ない、トイレに間に合わなくて漏れてしまう、トイレが近い、といった症状が生じます。

40歳以上の8人に1人が何らかの症状を有しており、現在日本では1000万人以上の男女が罹患しているとされています。

同様の症状が起こる他の病気がないことを確認することが重要です。

治療法は 適切な水分摂取の指導や骨盤底筋訓練・膀胱訓練といった理学療法、飲み薬による治療、必要に応じて膀胱に薬を注射する治療などです。

尿失禁

尿失禁とは自分の意思とは関係なく尿が漏れてしまうことを指します。

「40歳以上の女性の4割以上が経験したことがある」というデータもあり、悩みを抱える方が多い症状の一つです。

尿失禁は症状によって分類され、症状・原因に応じて治療法が異なります。


🍃 切迫性尿失禁

急な尿意が起こり我慢できずに漏れてしまう尿漏れです。

男性は前立腺肥大症、女性は過活動膀胱などが原因で起こることが多いとされます。

骨盤底筋運動などの理学療法をはじめ、飲み薬をはじめとした薬による治療、膀胱内に薬を注射する治療などを行います。

🍃腹圧性尿失禁

くしゃみや咳、小走りをした時などおなかに力がかかった時に起こる尿漏れです。

女性の尿失禁で最も多く、週1回以上経験している女性は500万人以上と言われています。

出産や体形の変化、ホルモンバランスの変化などにより骨盤底筋群と呼ばれる筋肉が緩むために起こり、理学療法によって骨盤底筋をトレーニングすることが有効とされています。

※手術による治療が必要な場合には、病院をご紹介させて頂きます。

🍃溢流性尿失禁

ご自身で尿が出せなくなることにより、溢れてしまうことで起こる尿漏れです。

膀胱から尿が出にくくなるために生じます。

長期的に溢流性尿失禁が生じる状態を放置しておくと、腎臓機能が低下する可能性があるため注意が必要です。

男性は前立腺肥大症に伴い溢流性尿失禁が生じることがあります。

まずは膀胱に残っている尿を出す処置を行い、内服薬などで尿が出にくくなる状態を改善させる治療を行います。

🍃機能性尿失禁

歩行障害や認知機能障害などで排泄がトイレで出来ない場合などに生じる尿漏れです。

夜間頻尿

間頻尿とは、夜間の就寝中にトイレのために1回以上起きてしまう症状のことをいいます。

  • 尿量が増える
  • 膀胱に貯められる尿量が減る
  • 睡眠の障害による

これらの要因が組み合わさって生じることが多くあります。

原因の特定は難しいことも多いですが、夜間頻尿に隠されてた他の病気を見逃すことなく多角的に解決策を講じることが大切です。

24時間のトイレ回数や尿量を用紙に記録して頂き、その結果に応じて診断・治療に繋げます。


🍃 尿量が増える

1.1日の尿量が増える

1日(24時間)を通して尿量が多くなることを多尿をいいます。

具体的には1日の尿量が40ml/kg(体重)を超える場合を指します。

水分の過剰摂取や利尿剤の影響、他の内科の病気などによることもあります。

2.夜間の尿量が増える

夜間のみ尿量が増えることを夜間多尿といいます。

具体的には65歳以上の方では24時間の尿量に対する夜間尿量の割合が33%を超える場合を指します。

就寝前の水分の過剰摂取、高血圧症、心不全、腎不全、睡眠時無呼吸症候群などの病気によるもの、薬剤性によるものがあります。

下肢の浮腫(むくみ)ある方は夜間多尿になる事が多く、浮腫への対応も必要です。

多尿の原因が他の病気によるものであれば原因の疾患治療が必要になります。

また、水分摂取を必要以上にされている方も多く、その場合はご自身で水摂取量を調節して頂くことが大切です。

夕方以降の水分摂取は控えめに、夕食時の塩分摂取やカフェイン類、アルコール摂取も控えめにすることも大切です。

さらに、夕方までの時間に体を横にして休むことで下肢に溜まった水分を寝る前に排出させることが出来るため、夜間尿量の減量に繋がります。

(ここで長時間の睡眠をとってしまうと睡眠障害が生じる可能性がありますので注意が必要です。)

🍃膀胱に貯められる尿量が減る

前述の過活動膀胱と同じような症状が夜間にも生じるために起こる頻尿です。

男性は前立腺肥大症によっても生じます。

過活動膀胱、前立腺肥大症などに応じた対応を試みます。

🍃睡眠の障害によるもの

睡眠の質が低下することで、すぐに目が覚めてしまうことがあります。

目が覚めるのでトイレに行く、という事が原因になります。

睡眠障害に対しての環境の整備や生活リズムを整えることなどが必要です。

前立腺肥大症

加齢や男性ホルモンの影響により、前立腺という男性の臓器が肥大することで排尿の症状が出る疾患です。

50歳代から徐々に生じることが多く、トイレが近い、尿が出にくい、勢いが弱い、尿線が途切れる、キレが悪い・・などといった排尿に関わる種々の症状が現れます。

尿検査、腹部超音波や尿流量測定などにより診断を行います。

良性疾患ですので前立腺癌との関連はありません。

内服治療で症状が改善することを目標にしていますが、必要に応じて手術が選択肢となることがあります。

尿路感染症

腎臓、膀胱、前立腺といった尿の通り道に細菌などが付くことで生じる感染症をいいます。

感染を起こした臓器により様々な症状が生じます。基本的には抗生物質による治療です。

尿路感染を起こす細菌は様々であるため、細菌の種類や性質により使用する抗生物質を使い分ける必要があります。


🍃 急性膀胱炎

一般的に女性に生じる尿路感染症です。

血尿(尿に血が混ざる)、排尿時痛(トイレの時に痛みがある)、頻尿(トイレが近い)などの症状があります。

🍃 急性前立腺炎

男性に生じる尿路感染症です。

急性前立腺炎の場合、血尿・排尿時痛・頻尿の他に発熱や尿の出にくさなどを生じることがあります。

🍃急性精巣上体炎

男性に生じる尿路感染症です。

血尿・排尿時痛・頻尿だけでなく、発熱や睾丸の腫れ・痛みなどを生じることがあります。

🍃 急性腎盂腎炎

腎盂と呼ばれる尿の通り道に生じる感染症です。

膀胱炎の症状の他に発熱や腰痛を生じることがあります。

尿路結石症

尿の通り道に石が出来る疾患です。

女性よりも男性に多く、男性の7人に1人、女性の15人に1人が生涯を通じて一度は尿路結石になると言われています。

近年は増加傾向にあり、冬に比べて夏の方が患者数が増えるという報告があります。

また再発が多いのも尿路結石の特徴です。

腰部の激痛・血尿といった症状が出る場合や、人間ドックや健康診断などで実施される腹部超音波で見つかる場合があります。

小さな石の場合は積極的に水分を摂取して尿量を増やすことで、排尿とともに自然に石が出てくることがあります。

大きな石や1か月以上経過を見ても位置に変化がない石、発熱が生じる場合や腎臓からの尿の流れが停滞が生じている場合などでは、結石に対して積極的な治療が必要になることもあります。

泌尿器科癌

🍃前立腺癌

2019年における男性の癌のうち、罹患数(新たに癌と診断された数)第1位が前立腺癌です。

高齢化や食生活の欧米化により近年増加しています。

父親や兄弟に前立腺癌の方がいらっしゃると前立腺癌にかかるリスクが上がります。

前立腺癌の初期は自覚症状がないことが多く、病気の進行に伴い自覚症状が出現します。

具体的には尿が出にくい・血尿など尿の症状や、転移先での症状(痛みなど)が生じます。

前立腺癌の診断には血液検査でPSA( prostate-specific antigen )と呼ばれるタンパクを測定することが有用です。

このPSAは前立腺癌の診断のみならず、治療過程においても重要な役割を示します。

一般的には4.0ng/mL以上を異常としていますが、年齢によって異常とする数値が変化します。

また前立腺肥大症治療薬やAGA(男性型脱毛症)治療薬によってPSA値が見かけ上の変化をすることがあり注意が必要です。

PSA値が高く前立腺癌の可能性が否定できない場合には、さらに詳しい検査や治療が可能な病院をご紹介させて頂きます。

前立腺癌の治療は手術、放射線療法、内分泌療法、化学療法と数多く存在します。

手術や放射線治療にも様々な種類があり、今までの診療経験を踏まえて治療方法のご相談もお受けしますので、お気軽にご相談ください。

また当院では手術後や放射線治療後のフォローアップ、内分泌治療も行っております。


🍃 膀胱癌

60歳以降の男性に多く、喫煙・化学物質への暴露・慢性的な感染状態などがリスクになります。

痛みなどの自覚症状を伴わない目で見える血尿(無症候性肉眼的血尿)が最も多い症状ですが、他にも頻尿や排尿時の痛みといった症状があります。

検診で偶然見つかる、といったケースもあります。

血尿は一度生じた後に自然に消失することもあり、血尿を自覚された場合には放置せずに泌尿器科を受診されることを強くおすすめしています。

膀胱癌が疑われる場合は膀胱の内視鏡検査を実施して診断します。当院の膀胱内視鏡は軟らかなファイバースコープを導入しております。

そのほか、尿の細胞を確認する検査、腹部超音波検査、CTやMRIといった検査を併せて実施して治療方法を検討します。

膀胱癌と診断された場合には手術が必要になりますので、速やかに病院をご紹介させて頂きます。

また、当院では膀胱癌術後の患者様のフォローアップも実施可能です。お気軽にご相談ください。

性感染症

🍃男性の性器クラミジア感染症

クラミジア感染症は本邦で最も多い性感染症です。

男性では尿道炎や精巣上体炎、前立腺炎の原因となります。

排尿時の痛み・尿道不快感・掻痒感などの自覚症状が出ることが多く、後述の淋菌性尿道炎に比べて症状は軽微です。

潜伏期間は2-3週間とされます。

男性のクラミジア感染症では症状が出るものの、女性のクラミジア感染症は自覚症状が乏しいケースが多いことが特徴です。

しかし女性のクラミジア感染症では子宮頚管炎・骨盤内付属器炎・肝周囲炎・不妊症・母子感染などを引き起こすことがあり、パートナーと一緒に検査や治療を行うことを薦めています。

治療は抗生物質の投与です。抗生剤投与後にクラミジアが消失しているか判定を行います。

※当院では性器クラミジア感染症の診断と治療は男性のみとなります。検査方法は尿検査です。

咽頭感染や女性の感染症には対応しておりませんのでご了承ください。


🍃男性の淋菌感染症

男性では尿道炎、女性では子宮頚管炎を起こす感染症です。

男性の場合は潜伏期間が2-9日とされており、多くは尿道から膿のような分泌物が出現し、強い排尿時痛が生じます。

クラミジア性尿道炎に比べると症状が重いケースが多く見受けられます。

女性は男性よりも症状が軽く、自覚されないまま経過することも多いため骨盤内の炎症や不妊症に至る可能性もあります。

治療は抗生物質の投与です。抗生剤投与後に淋菌が消失しているか判定を行います。

※当院では淋菌感染症の診断と治療は男性のみとなります。検査方法は尿検査です。

咽頭・直腸感染や女性の感染症には対応しておりませんのでご了承ください。


🍃梅毒

各種報道にもある通り、日本では2021年以降再び大きく増加し決して珍しくなくなっている感染症です。

梅毒トレポネーマと呼ばれる病原体により起こる感染症で、主に性的接触で口や性器などの粘膜・皮膚から感染します。

感染すると、はじめは性器や口の中に小さなしこりが出来たり、手のひらや体中に発疹が出ることがあります。

しこりや発疹は様々な様相を呈し、他の病気との鑑別が難しい場合もあり、可能性が疑われた場合は血液検査で梅毒の検査を行います。

症状が消えても感染力は残っており、そのまま放置すると数年から数十年の間に他の臓器に病気が広がり重症化する恐れがあります。

妊娠中の梅毒感染は特に危険で、胎児にも感染します。

治療は抗生物質の投与を行います。

抗生物質投与終了後にも約1年間の血液検査によるフォローアップをお勧めしています。

夜尿症

お子様の夜尿症は「5歳以上で1か月に1回以上、夜間睡眠中に尿漏れが起こることが3か月以上続くもの」と定義されています。

小学校入学時には10人に一人、小学校卒業時には30-50人に一人くらいの割合で夜尿症であるという調査結果もあります。

一般的に夜尿症は成長とともに自然に消失しますが、適切な治療介入によって消失する時期を早めることが出来ます。

夜尿症の原因は以下の原因が組み合わさって生じます。

  • 夜の間に作られるおしっこの量が多い 
  • 膀胱に溜められるおしっこの量が少ない 
  • トイレに行きたくなっても目が覚めずもれてしまう 

診察時にはまずお話しを伺い、尿検査や腹部超音波検査など痛みのない検査を行います。

治療は排尿の状態を記録する日誌を記載することから始まります。

また夜間の尿量を減らすための生活習慣を提案したり、便秘がある場合にはそのコントロールを行います。

効果不十分である場合は、当院では飲み薬による治療をおすすめしています。

夜尿症のお子様は、自信を無くしたり学校生活や友人関係に悩みを抱えるケースが多いという報告もあります。

‶ただのおねしょ”と捉えることなく、一緒に卒業を目指して治療を行いますのでご相談ください。

ED、男性更年期障害

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