当院では頻尿・尿漏れの治療に力を入れています。
診断された結果に応じて治療法は異なりますが、内服治療の他にも各種治療方法をご案内しています。
骨盤底筋とは骨盤を下から支えている筋肉を指します。
尿道、膣、直腸は骨盤底筋を貫いており、骨盤底筋は骨盤内の臓器を支え、排尿や排便といった排泄をコントロールする機能の一部を担っています。
女性の場合、加齢やホルモンバランスの変化、妊娠や出産、体重や体形の変化によって骨盤底筋がダメージを受けやすく、それにより頻尿・尿漏れ・骨盤臓器脱と呼ばれる状態が生じます。
骨盤底筋運動とは文字通り、この骨盤底筋を動かす運動を指します。
骨盤底筋運動により、頻尿・尿失禁症状それぞれに効果が立証されており、日本排尿機能学会・日本泌尿器科学会編集の「女性下部尿路症状 診療ガイドライン」でも ’行うように強く勧められる’ 治療方法に分類されています。
骨盤底筋運動において大切なことは ①正しい方法で ②継続する ことです。
当院では骨盤底筋運動の正しいやり方を覚え、習慣化して頂くための指導の時間を設けています。初めての方も、トレーニングをしたことがある方も、お気軽にご相談ください。
医師による診察の後に指導予約を取らせて頂きます。指導予約は必ず窓口かお電話でお願いします。(インターネットからの予約は出来ません。)
女性の方のみの指導とさせて頂いております。ご理解の程よろしくお願い致します。
・骨盤底筋運動指導(約20分間程度)2,200円/回(自費診療)
🍃副作用
大きな問題となる副作用はありませんが、妊娠中や出産直後は実施できない場合もあります。
尿失禁に対する治療法の一つです。
腹圧性尿失禁、切迫性尿失禁のいずれにも効果が認められています。
専用の粘着パッドを下腹部とおしりに4枚貼り、20分間椅子に座って電気を流す治療法です。ピリピリとした刺激を感じることはありますが、痛みはありません。衣服を着用したまま治療を行うことが可能です。
低周波が膀胱周囲の筋肉・神経を刺激し、過剰な排尿収縮運動を抑制することで効果を示します。
内服薬との併用や、内服薬の副作用・他の病気の影響で内服が出来ない場合でもこの治療を受けることが出来ます。
妊娠中、出産直後の安静が必要な時期には行うことが出来ませんが、それ以降は授乳中であっても実施可能です。
ペースメーカーをはじめ、体内に金属が留置されている場合には実施ができません。
干渉低周波治療ご希望の場合には、はじめに診察が必要になりますので診察予約をお取りください。
🍃副作用
問題となる副作用はありません。
一般的な過活動膀胱治療を3か月以上行っても十分な効果が得られない状態を難治性過活動膀胱と言います。
この難治性過活動膀胱の場合、あるいは副作用などで一般的な治療が実施できない過活動膀胱の場合に選択肢となるのがボツリヌス毒素膀胱壁内注入療法(ボトックス療法)です。
ボツリヌス毒素と呼ばれる薬を膀胱内に注射する治療で、保険適応となっています。
ボツリヌス毒素は筋肉を緩める作用を持つため、膀胱壁内に投与すると膀胱を緩め、尿を溜めやすくする効果が期待されます。それにより頻尿、夜間頻尿、尿意切迫感、尿失禁といった症状を改善させる治療法です。
膀胱内に局所麻酔薬を注入後、内視鏡を使用しながら細い注射針を用いて膀胱の壁に薬を注射します。
通常、2~3日で効果が出現し、過活動膀胱の場合には約6~10か月間効果が持続するとされています。効果が弱まった場合には内服薬による治療を再開することも出来ますし、再度ボトックス療法を行うことも出来ます。
この治療により20~40%の患者で尿失禁が消失し、約60~70%の患者では尿失禁回数が半減するとされ、治療有効率は約60~90%と言われます。尿漏れパッドやおむつの平均使用枚数は半減し、多くの患者では経口薬を中止することが出来るとされています。
(日本排尿機能学会・日本泌尿器学会「過活動膀胱・神経因性膀胱に対するボツリヌス療法適正使用指針」より)
当院ではボトックス治療の適応となる患者様の中でご希望される方には積極的にこの治療を行っています。
🍃副作用
・排尿困難・残尿量の増加
尿を自分で出し切ることが出来ず、排尿をした後に膀胱内に尿が残りやすくなることがあります。
症状に応じてご自身で管を使って尿を出す’自己導尿’という処置が必要になることがあります。
この症状はボトックスの効果が無くなれば改善します。
・尿路感染症
膀胱炎、急性前立腺炎、腎盂腎炎と呼ばれる尿の通り道に細菌感染を起こす病気が生じることがあります。
・肉眼的血尿
膀胱に注射をすることで一時的に血尿が生じることがあります。
・薬剤アレルギー
使用する薬剤(麻酔薬やボツリヌス毒素等)に対するアレルギー反応が生じることがあります。
🍃ボトックス治療が受けられない方
・治療時に尿路感染症にかかっている方
・もともと重度の排尿障害があり、自己導尿を行っていない方
・全身性の筋力低下を起こす病気をお持ちの方
・妊娠中、妊娠している可能性のある方、授乳中の方
・過去にボトックス治療を受け、薬剤アレルギーが生じたことがある方
・処置後に自己導尿が必要になった場合に導尿の実施にご同意の頂けない方
・この他、医師の判断によって実施しない場合もあります